神奈川県中山駅の歯医者さん、ひだまり歯科医院です。
今回のテーマは「セラミックは保険でできるのか」です。
セラミックは歯科治療の1つですから、当然のように保険が適用されると思っている人もいます。
しかし、結論を言うとセラミックは基本的に保険が適用されません。
さて、歯科治療でありながらなぜセラミックは保険が適用されないのでしょうか。
ここではその理由の説明、さらにはセラミックにする意味があるのかについても考えていきます。
セラミックは健康保険が適用されません。
さて、歯科治療で健康保険が適用されないのは実は珍しいことではないのです。
と言うのも、健康保険を適用するためには2つの条件があるからです。
1つは文字どおり「身体の健康にするための治療であること」で、
ちなみに美容整形の豊胸や二重などの治療はこの条件を満たしていないため健康保険が適用されません。
セラミックは詰め物や被せ物に使用しますから、この点に関しては条件を満たしていると言えるでしょう。
しかしもう1つ条件があり、それは「必要最低限の治療であること」です。
確かに健康目的とした時に詰め物や被せ物は必要な治療ですが、最低限かと言うとそうではありません。
それは、セラミックが審美目的も兼ねているからです。
つまり、セラミックは「必要最低限の治療」という健康保険適用の条件を満たしていないため、
健康保険が適用されないというわけで、この条件を満たしているのは銀歯です。
健康保険が適用できないことから、セラミックは銀歯に比べて費用が高額です。
では、セラミックにする価値はないのでしょうか。
確かに、費用を最優先する人にとっては価値がないと言えるでしょう。
しかし健康保険が適用されない以上、セラミックは銀歯にはない以下のようなメリットがあります。
セラミックは見た目が美しく、天然の歯と見分けがつかないほどの審美性を誇ります。
最も美しいのはオールセラミックというタイプで、
オールセラミックはただ白いというだけでなく、天然の歯に近い光沢も再現しています。
ツルツルした感触のセラミックにはプラークが付着しにくく、
さらに詰め物や被せ物として使用した時に歯との間に隙間が生じにくい特徴があります。
このため銀歯のように細菌が入り込むことがなく、虫歯の再発…つまり二次虫歯を予防できるのです。
銀歯もセラミックも人工物ですから、永久に使用することはできません。
しかし、寿命の長さには大きな差があります。銀歯は一般的に5年ほどで寿命になりますが、
セラミックは10年以上…特にオールセラミックならケア次第でさらにそれ以上使用し続けることが可能です。
セラミックの材質は陶器なので、銀歯のように金属を使用していません。
このため、セラミックは金属アレルギーの人でも安心して使用できます。
ただしメタルボンドは例外で、このタイプのセラミックは金属を使用しているので注意が必要です。
…これらはいずれも銀歯にはないメリットです。
審美性が高いのはもちろん、二次虫歯の予防や長持ちするといった点から、
セラミックは機能性においても優れていることが分かります。
これらのメリットを考えると、セラミックは費用に見合った価値があるのも事実です。
以前まではセラミックは例外なく健康保険が適用されませんでしたが、
2014年の健康保険改正により、ハイブリッドセラミックのみ健康保険が適用されるようになりました。
そのためには以下の基準が設けられており、従来のハイブリッドセラミックとは異なった点もあります。
<厚生労働省が定める基準>
・厚生労働省に施設基準の届け出を行い、認可された歯科医院であること
・歯科補綴治療に関する専門の知識、及び3年以上の経験を有する歯科医師が在籍していること
・厚生労働省の定める歯科用CAD/CAM装置、材料を使用して製作すること
・製作する歯科技工所との連携がしっかりととれていること
…これらの基準を満たしている場合、ハイブリッドセラミックに健康保険が適用されます。
ただし健康保険適用のハイブリッドセラミックは、従来のタイプに比べて審美性と強度が劣ります。
また、適応できる歯は限定され、さらにこれに対応している歯科医院もごく一部になっています。
いかがでしたか?
最後に、セラミックは保険でできるのかについてまとめます。
1. 健康保険が適用されない理由 :「必要最低限の治療」という条件を満たしていないため
2. セラミックにする価値 :審美性だけでなく、二次虫歯の予防効果の高さなど、セラミックは機能性も高い
3. ハイブリッドセラミックと健康保険 :2014年の改定により、特定の基準を満たす場合は保険が適用される
これら3つのことから、セラミックは保険でできるのかが分かります。
オールセラミックなど、質の高いセラミックは現状健康保険が適用されません。
ただし2014年の健康保険改正により、一定の基準を満たした場合は健康保険が適用されるようになりました。
しかしそれはハイブリッドセラミックに限定されている上、従来のものとはタイプが異なるため、
基本的にセラミックは健康保険が適用されないと捉えておいた方が良いでしょう。